< Back to 古代アンデスの織物

キープ

ルーム5、ショーケース58


テキスタイル
ペルー南部の山々
帝国期: 紀元後14世紀- 16世紀初頭
ML600064, ML600069

キープは、インカの政治における主要な情報登録システムだった。この結縄には数値情報が登録され、色や結び目、結び目同士の距離等が、データの種類や登録される集落の特徴を表していた。

キープの構造(Urton著「コンドルの湖におけるキープ」より抜粋-2007年)

キープは、各地方から納められる献上物によって成立していた帝国にとって、非常に重要な情報登録システムだった。

キープに登録された情報の読解を専門とするインカ政府の役人は、キープカマカヨックと呼ばれた。

 インカの計算法は10進法に基づいていた。キープは、縄の中の結び目とその位置が、1の位から数万の位までを表し、縄の色や、糸や結び目の構造が、数値化或いは登録されている情報の種類を表した。即ち、人口や男女、職業の種類や生産高などを区別することが可能だったのである。

巨大なキープの中には、一つの集落の一定期間に関する情報を、時系列に登録したものもあると考えられている。

キープは、主縄と下げ縄によって構成され、多くは木綿製だが中にはラクダ科動物の繊維を使ったものもある。

下げ縄には結び目がつけられているほか、複数の下げ縄によって成り立つグループ同士には間隔があり、データの種類別になっていると考えられる。